環境メディア訪問  

株式会社 オルタナ

環境やエコロジーをテーマとしたライフスタイル誌が続々と創刊される中、ビジネスという全く新しい視点でそれらと向き合う雑誌がある。環境と社会貢献と「志」をテーマにしたビジネス情報誌、「オルタナ」がそれだ。もうひとつの、全く新しい、という意味を持つ英語"オルタナティブ"に由来する。そしてこの"オルタナティブ"というキーワードこそ、ビジネスにおける21世紀の新たな価値観だと森編集長は言う。企業は環境や社会に対し、どう向き合うべきか。経済記者として長いキャリアを誇り、オルタナを創刊した森摂氏に話を聞いた。

取材: 清宮恵子

株式会社 オルタナ おるたな  URL:http://www.alterna.co.jp/
特色 環境と社会貢献と「志」のビジネス情報誌
本社所在地 渋谷区渋谷1-20-3
電話 03-3498-5372
設立年月 2006年9月26日
業種 出版業
代表者 森 摂
従業員数 10人

「会社は誰のものか?」という問いと、イボン・シュイナードとの出会い


― なぜ「オルタナ」というビジネス情報誌を創刊されたのですか?

ビジネスにおいて、20世紀を占めた主要な価値観は売上や利益・ROE(株主資本利益率)といったものでした。しかし21世紀は、これらに加えて大事な価値観があるのではないか―? その疑問符が、オルタナ創刊の動機です。地球環境に対する負荷を軽減するビジネス、社会貢献、CSR、働きやすい職場環境......さまざまな形態が考えられますが、オルタナティブという価値観を持った会社が、これからの世界を変えていく。そう信じて、2007年4月にオルタナを創刊しました。

― そのような考えに至った直接のきっかけは?

パタゴニアの創業者、イボン・シュイナードとの出会いが大きな転機となりました。私はそれまで20年ほど日本経済新聞の記者をやってきましたが、「会社は誰のものか」という命題に対し明確な答えを出せずにいました。そんな中、98年からのアメリカ駐在中に彼と出会ったのです。 全米最大の環境団体「シエラクラブ」の元事務局長であったデビッド・ブラウワー氏の言葉を引用し、彼はこう言いました。「企業は誰のものでもない。地球のものである。どんなビジネスも地球や資源がなければ成立しない。」目から鱗でした。パタゴニアは、オーガニック綿の製品やペットボトルから再生したフリースを世界で初めて発売した会社であり、毎年売上高の1%を地球のために寄付しています。こういう企業やビジネスを、もっとたくさんの人に知ってもらいたいと思うようになったのです。


海外在住ジャーナリストとのネットワークで世界の最新情報を提供



― 現在の主な読者層は?

20代~40代のビジネスパーソンが多く、男女比は半々。うちは学割をやっている珍しい雑誌なのですが、思いのほか学生の読者が多いのも特徴です。

― 若い人の方が環境や社会に対する危機意識が高いということですか?

若い人の方がピュアということです。環境や社会貢献は純粋でないとできない部分がありますからね。10年20年ビジネスの経験があると、どうしても既存の価値観に囚われやすい。大企業のCSRが大変なのは、そこが原因でもありますね。

― 雑誌の特徴を教えてください。

オルタナは環境雑誌ではなく、あくまで環境や社会貢献をテーマとしたビジネス情報誌。通信社や新聞社出身のジャーナリストとネットワークを持ち、海外の最新事例などを交えた情報をお伝えしています。現在ネットワークを持つジャーナリストの数はおよそ50名。そのうち半分は海外在住です。彼らからの情報は非常に貴重であり、インターネットがないと確立しなかった雑誌とも言えるでしょう。

― 環境問題などに対し、メディアが果たせる役割とは?

オルタナとしての役割は明確です。環境や社会に貢献しながら、新しい価値を創造している企業・NPO・若者を我々は応援します。それによって輪が少しずつ広がり、社会が少しずつ変化することを目指しています。ただ、私たちは正しいことを言いたい訳ではない。ましてその価値観を強要するつもりなど毛頭ない。21世紀のオルタナティブな価値観を、提示したいだけなのです。


横並びのCSRならやめちまえ! 企業は原点に戻るべし



― 今後企業やCSR担当者は何をすべきですか?

環境やCSRにおいて何をすべきか、大企業も中堅企業も皆迷っています。私は、横並びのCSRならやめてしまえ!と言いたいです。どの企業も、横並びの似たような企画が目立ちます。でも、その会社の生い立ちや現状、本業に密接にリンクした環境活動やCSRがあるはずです。環境をやるにしても、CSRをやるにしても、本業を後押しするような形が求められています。原点に戻り、他とは違う活動を期待します。

―最後に、企業のCSR担当者および学生に対してメッセージをお願いします。

企業がCSRや環境活動を継続して行うには、社内をどう巻き込むかが重要なポイントです。会社の同僚たちからどれだけ共感を得られるか。社外に情報発信をする前に、そこに頭を使って欲しいですね。社外の情報発信も、とても難しいと思います。CSRは正論になりがちですが、正論で人は動きません。社内・社外いずれも知的もしくは感情的に「面白い!」と思える仕掛け作りが大切です。 それは学生に対しても同じですね。自分たちが正しいことをやっているという意識ではなく、面白いことでより多くの人を巻き込んでもらいたい。志が高い学生が増えたと言っても、それは全体の1~2%にすぎない。既に何か活動を始めている学生は、本当に偉いですよ。ぜひ頑張って続けてほしいですね。

―ありがとうございました。



編集後記:

日経新聞の経済記者としておよそ20年のキャリアを誇り、「社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論」の翻訳も手がけた森編集長。多くの企業や経営者を取材し辿り着いた1つの解「オルタナティブ」という考えは、とても納得させられるものでした。それは「オルタナ」の読者も同じようで、『オルタナと出会い、宝物を探し当てた気分です』『毎号隅から隅まで読み、全てが私の意志と共通している唯一の雑誌です』と、共感の声が続々と編集部に寄せられています。「オルタナ」から始まった小さな輪は、すでに社会を変え得る大きな輪へと拡大して行っている。熱心なメールの数々を見るにつれ、そう感じずにはいられませんでした。

担当者様プロフィール
森 摂:株式会社 オルタナ

森 摂 氏

株式会社 オルタナ 編集部 編集長

東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。 流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2002年9月退社。同年10月、ジャーナリストのネットワークであるNPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)を設立、代表に就任。 取材・執筆対象は産業、経済、企業論、マーケティング論、ブランド論など。 日経ビジネスAssocie、週刊東洋経済、フォーサイトなどの経済誌・総合誌に随時、記事を執筆。主な著書は『ウェブ時代の英語術』(NHK出版、馬越恵美子桜美林大学教授と共著、2005年4月)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年10月)など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社、2007年3月)がある。

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