環境メディア訪問  

月刊ソトコト

世界初の環境ファッションマガジンとして、1999年に誕生したソトコト。「ロハス」や「スローフード」、「スローライフ」という新しいライフスタイルを日本に定着させ、堅苦しかった環境問題やエコロジーのイメージを一変した。創刊10周年という節目の時を迎える今、ソトコトが見つめる次なるテーマとは。創刊当時の話を交えつつ、ソトコト副編集長の指出一正氏に話を聞いた。

取材: 清宮恵子 写真:川上

月刊ソトコト げっかんそとこと  URL:http://www.sotokoto.net/sotokoto/
特色 ロハスピープルのための快適生活マガジン。スローフードやスローライフ、ロハスをはじめ、NPOやエコツーリズムなど、楽しくオシャレにエコロジーを、暮らしのヒントを毎月特集スタイル
本社所在地 東京都中央区築地7-12-7 築地F.T.S.ビル
電話 03-3524-9572
設立年月 1999年
業種 出版

「この雑誌は一体何だ?」
世界初、環境ファッションマガジンの誕生


―創刊当時の話をお聞かせください。
ソトコト誕生には、どのような時代背景がありましたか?

新雑誌創刊を前に、当時の編集部では「次の時代に何が来るか」という議論を繰り広げていました。80年代は、「モノ」が文化の中心。雑誌メディアも、情報やモノカタログの要素がほとんどでした。90年代に入ると、「モノ」は「ファッション」へと移行します。ファッション雑誌が次々と台頭し、人々の関心も外見のおしゃれに集中。しかし、90年代の終わりには「ファッション」もあらゆる層に行きわたり、飽和状態となります。

そこで当時の編集部が出した結論は、「心のおしゃれ」。これからは外見のおしゃれだけではなく、知性や内面の美しさを磨くことがかっこいいのではないか、と考えたのです。

そのような背景のなか、ソトコトは環境ファッションマガジンとして1999年5月に誕生しました。そして心の充実を図るために、今後一番重要なテーマが「環境」だろう、と予想したのです。

―周囲の反応はいかがでしたか?

「この雑誌は一体何だ?」というのがほとんどの感想だったと思います。つまり、カテゴライズできない雑誌が出てきたな、と。どのカテゴリーにも属さない、まったく新しい価値観。誰が読む雑誌なのか、どこへ向かうのか。それもまだ分からなかった。

出版業界の評価も変わりもの的な見られ方でした。読者の獲得はもちろんですが、広告主の獲得はさらに厳しいものになるだろうと予想され、「いつまで続けられるのか?」と囁かれました。自社製品よりも前に、社会貢献やエコ活動を広告する企業なんて、現在に比べれば、当時はほとんどなかったのです。

―転機はいつですか?

2005年に愛知で開催された愛・地球博が大きな転機となりました。この万博で環境というテーマが初めて国民レベルのイベントになり、ソトコトも発行部数を飛躍的に伸ばしました。現在は発行部数10万部の雑誌にまで成長しています。

―環境に対する一般の意識は、10年前と比較して進歩しましたか?

飛躍的に進歩したと思います。10年前、エコはストイックで苦しいものだった。何かを我慢したり、削ぎ落としたり。でも今のエコは、もっと明るい。エコは格好いいし、ビジネスや産業としても展望がある。すごく前向きで、良い傾向だと思います。日曜日に大きな車でドライブするのが格好いい時代から、電車やハイブリッドカーで、お寺の境内の掃除や、古い温泉旅館の修繕のボランティアに出かけるのが格好いい時代に変わりつつあるのです。「ロハス」や「スローフード」だけではなく、「マイバッグ」「マイ箸」も定着し始めている。10年前には考えられなかったことです。


「百聞は一見にしかず」
体験型イベント×誌面展開で「ロハス」を定着



―「ロハス」の定着はソトコトの貢献が大きいですね。成功の秘訣は?

新しいライフスタイルや考え方を提案する時は誌面で紹介するだけでなく、必ずリアルで体験できる場所を提供しています。紙から単発でメッセージを伝えるだけでは深く響かないし、続かない。これがソトコトの考えです。昨年は築地本願寺の敷地内にカフェ・ド・シンランという期間限定の雑穀レストランを出店しました。新宿御苑では毎年5月にロハスデザイン大賞を開催しています。

「百聞は一見にしかず」という言葉がありますね。体験して初めて、「これがロハスなんだ!」と分かることって、あると思うんです。

―企業や官公庁との連携も重要ですか?

企業や官公庁・自治体などからは教えてもらうことがとても多いです。僕らにとっては貴重な情報源ですし、協力も欠かせません。

逆に企業や官公庁は、ソトコトのカジュアリティをもっと活用できるのではと思います。僕らが真似できないような大規模プロジェクトや、先駆的な活動をたくさんしているのに、なかなか一般の人には伝わりづらいということも多い。そこは企業とメディアが上手にコミュニケーションすることで、一般の人へも分かりやすく伝えられるのではと思っています。

―現在の主な読者層は?

大きく分けると2つの特徴があります。1つめは、企業読者。特に男性が多いのですが、環境に対する知識を学び、ビジネスに活用しようという方々です。2つめは、一般の女性ですね。環境に対する危機感や、より良い環境を求める意識は、女性の方が高い印象です。

それに加えて、ここ2年ほど急増している読者が大学生。社会起業家を目指す大学生が多いようです。お金を消費することが文化だった僕らの時代とは、価値感が全然違う。これからのソトコトを支えるのは、大学生のような若い世代だと感じています。


常に時代の先を見据える
今後注目は「隣人祭り」と「ブルー」



―今注目したいテーマは何ですか?

隣人祭りですね。隣人祭りとは、近所に住む人や同じ地域で働く人たちが互いに知り合うきっかけをつくる場。難しい知識は一切必要なく、隣人同士が食べ物を持ち寄って食事会を楽しみます。現在29カ国800万人の人が参加しており、毎年5月の最終火曜日は全世界で一斉に隣人祭りが開催されています。

発起人は、パリ在住の区議会議員であるアタナーズ・ぺリファン。彼は隣人を孤独死で亡くした経験をもち、それが原体験となり顔が見えるご近所付き合いを目指してこの活動をはじめました。ソトコトは隣人祭りの考え方に共感し、日本支部を発足し、活動しています。

―今後のキーワードは?

2008年はオバマ大統領が打ち出したグリーン・ニューディール政策をはじめ、「グリーン」という言葉が1つのキーワードでした。企業も植林活動や森林保護活動を積極的に行ってきましたね。 次に来るのは「ブルー」、つまり水が重要なテーマになってきます。川や水源林などの水環境を美しく維持し、また、どのように飲料水を確保し、保有するか。東京都では「安全でおいしい水プロジェクト」が推進されており、水道水も見直されはじめています。

―最後に、今後の抱負をお聞かせ下さい

笑顔でエコが語れる世の中になってほしいですね。そのための雑誌づくりを目指したいと思います。社会的にだいぶ口元がゆるんできたな、という手ごたえは感じているので、もっと笑いながら環境問題やエコロジーを語れる日がくるよう頑張りたいと思います。

「労働」と「消費」という二元的な時間の使い方は、もう楽しくない。その真ん中にあるすごく曖昧なもの(例えばボランティアなどの社会貢献)を大事にしよう。それがソトコトの提案です。

―ありがとうございました。



編集後記:

取材や編集の仕事に加え、イベントやシンポジウムにも引っ張りだこの指出副編集長。忙しい最中、とても親切に取材にお答頂きました。環境にファッション的な要素を加え、軽やかに「エコ」や「ロハス」を提案してきたソトコトですが、それはあくまで最初のきっかけ作り。単なる流行語や消費される言葉に止まらせず、地道にイベントや啓蒙活動を実施する姿勢に共感しました。今後もソトコトからのメッセージに、注目したいと思います。

担当者様プロフィール
指出一正:月刊ソトコト

指出一正 氏

月刊ソトコト 副編集長

「Outdoor」(山と渓谷社)編集、「Rod and Reel」(地球丸)編集長を経て、2004年から現職。海外取材も多く、昨年はアイスランドで大統領へのインタビューを行った。プライベートでもエコイベントやボランティアに積極的に参加。ダウン症の子供たちが集まるお絵かき教室「アトリエ・エー」には、1年半前からスタッフとして参加している。

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