JALだからこそできる取り組みは大きく3つあります。1つは航空機による大気観測です。温暖化をもたらす大気変動メカニズムの解明に協力するため、高度1万メートルの大気を採取し、研究機関に提供しています。2つ目は、森林火災発見情報の報告です。近年シベリアなど北方森林での大規模な火災が問題になっています。JALは、シベリアやアラスカなど森林地帯上空を飛行中に見つけた火災をJAXA(宇宙航空研究開発機構)に報告することで、彼らが持つ衛星検知システムの精度向上に貢献しています。植林活動を実施する企業は多いですが、現在ある木をいかに保全するかということも非常に大切だと考えています。そして3つ目が小学生を対象に実施する「そらいく」という環境教育講座。長いキャリアを持つパイロットが実際に目にした地球環境の変化は、非常にリアリティがあり説得力があるようで、子供たちからも好評のようです。
CO2を排出しているという責任を認識し、ハード・ソフト・ヒューマンの3つの側面で可能な限りその量を少なくする努力をしています。ハード面では、新型航空機への更新や無塗装機の運航が挙げられます。機体に色を塗らないだけで150kg(ジャンボ機の場合)もの軽量化となり、その分燃費効率を上昇させます。無塗装機の取り組みを行うのは、日本ではJALのみです。ソフト面では機内食の食器、機内食を搭載するカート、貨物のコンテナをそれぞれ素材から変え軽量化。このような地道な取り組みが大きな成果を挙げると信じています。最後にヒューマン。これにはパイロットが操縦を工夫することなど、私たち社員による様々な取り組みがあります。たとえば着陸後、旅客機を停止する時に使う逆噴射は燃料に負荷をかけるため、アイドルリバース(自動車でいうニュートラル)で停止する。パイロット達が自ら「チーム・マイナス6%」を結成し、安全に支障のない範囲で操縦を工夫しています。
2004年4月に社長を委員長としてCSR委員会が設置されました。各分野の担当役員が委員を務め、経営企画室が事務局を務めています。しかし、CSR専属の部署や担当者はおりません。私自身も経営企画室に所属し、経営計画の策定業務にも参画します。これは、CSRはどこか特定の部署だけが行うものではなく、全社員で推進すべき活動であるという考えに基づいています。
社員それぞれが主導となり、現場がアクティブな会社は自ずと安全や環境に対しても前向きに動きます。例えば環境活動についての啓発は地球環境部、コンプライアンスについては業務監理部......など、主担当部門が推進するとそのことが全社に水平展開され、各職場が積極的に取り組んでいく、そして結果的にわが社全体のCSRが推進されている。そのような企業風土をいかに醸成するかがとても大切であり、それがCSR委員会の役割でもあります。
緑の尾翼がシンボルのJALエコジェット機は、パイロットの発案で実現したものであり、取り組みの成果といえる象徴的な存在でしょう。JALエコジェット機は、広く社会へ地球環境の大切さを呼びかけるため、また私たち自身も地球環境への取り組みを再認識するため誕生しました。提案が社員から自発的になされ、そして実現できたこと。それは社員全体の意識が高くなったことを物語っています。また、2005年から作成しているCSR報告書は初年1万6千部、昨年2万3千部、今年は2万5千部と着実に読者を増やしています。
この2ヶ月間は、主にCSR報告書の作成に取り組んできました。一部の執筆をジャーナリストに依頼し、第3者の視点を交えることで、より客観性・信頼性のある報告書作りを意識しました。大学生に向けCSRの話をすることもあります。昨年と今年は琉球大学のCSR公開講座で90分の授業をおこないましたし、最近はCSRに関して教えて欲しいと来社される大学生が増えてきました。また「コミュニケーションリーダーミーティング(CLM)」という取り組みの事務局も重要な業務です。これは社員みずから企業風土改革を推進するために全国の職場から部門を越えてコミュニケーションを図る取り組みです。
前述した企業風土改革を更に推進し、少しでも現場がアクティブな会社作りに貢献したいと思います。その小さな取り組み1つ1つが、やがて地球や社会への貢献につながると考えています。