低炭素社会を実現するためには、エネルギーの供給側(つくり方)と需要側(つかい方)の両方の取り組みが必要不可欠です。「エネルギーを作る」という側面では、原子力を中心とする非化石エネルギーの割合を高めつつ、化石エネルギーを最大限効率よく利用する取り組みを進めています。「エネルギーを使う」という側面では、ヒートポンプや電気自動車などの利用による、電化の推進に取り組んでいます。
私が以前勤めていた福島第一原子力発電所は、運転を開始してから40年近い年月が経っています。生まれた時から発電所があったという方も多いですし、これまで大きなトラブルを起こすことなく安全に運転してきた実績が、地域の方々の安心に繋がっていると感じます。また、原子力発電の安全性や放射線に関する理解活動、直接お会いするコミュニケーション活動などを通じて、地域の皆さまとの信頼関係を築いてきたと思います。
一方で、近年、原子力発電の「環境に優しい」という側面から地球温暖化対策としてクローズアップされるようになり、これまで原子力発電に馴染みのなかった方々にも、原子力発電を意識する機会が増えてきたのではないでしょうか。「環境に優しい」という特徴とともに、原子力発電の「安全性」についても、より一層広報していく必要性を感じています。
私たち東京電力グループは、低炭素社会の実現を握るカギは、家庭や産業など様々な分野で電化を推進することにあると考えています。たとえば、ヒートポンプは、空気中の熱や地中の熱などを少ない電気の力で冷暖房や給湯に利用できる仕組みで、1の電気エネルギーで3~6倍の熱エネルギーをつくりだすことが可能です。こうした省エネルギー技術の導入により、安全・安心で快適・便利な生活レベルと、低炭素を両立していくことが、私たちの目指す電化の姿です。それから電気自動車の普及も、CO2削減に大きな貢献が期待されます。試算では、電気自動車は同クラスのガソリン車と比べて、CO2の排出量を4分の1に抑えることができます。
省エネには、オイルショック以降、40年近く取り組んできた歴史があります。エネルギー資源は限りあるもの、特に、資源の大半を輸入に頼る日本においては長期にわたり安定的にエネルギーを利用するために、省エネを電力会社自らが呼びかけてきました。
また、電気は大変な思いをしてお届けしている大事な商品ですから、無駄遣いせず、大切に有効に使っていただきたいですしね。
私たちの仕事は、社会の基盤を支える重要な仕事。電気を安全に安定的に供給するという使命と責任は、連綿と受け継がれてきました。このことは私たちの誇りとも言えますし、そのままCSRに繋がるのではないでしょうか。これからも、社会の一員として重要な責任を担っているのだという自覚をそれぞれの社員が持って仕事に取り組むことが大切と思います。
私たちの会社には3万8,000人の社員がおり、グループ企業を合わせるとその数は約8万人にも上ります。それだけの人間がいれば考え方も千差万別な部分が当然あるとは思いますが、何のために働いているのか、という点においては皆共通した考えを持っていると思います。それは、電気を安定して供給すること。"CSR"というと何か新しいことのように感じてしまいがちですが、実は私たちの中に既に根付いている考えかたなのです。今まで持っていた仕事に対する誇りや使命感を、どう"CSR"という活動にリンクさせていくか。その旗振り役を担っていければと思っています。
「今までは『お客さまの中の東京電力』という考え方で仕事をしてきましたが、現在の部署に異動になり、『社会の中の東京電力』をより強く意識するようになりました」という俵さん。取材中何度も、「私たちのミッションは、電気を安全・安心に供給することです」と熱っぽく語ってくれました。普段あまりにも当たり前のように使っている、電気エネルギー。その裏には、俵さんのように真摯に仕事に取り組む社員の努力があることに、改めて気付かせて頂きました。私たちの生活を支えてくれている、東京電力株式会社に今後も期待したいと思います。