環境・CSR担当者訪問  

日本郵船株式会社

「海」「陸」「空」にまたがるグローバルな総合物流企業として知られる日本郵船株式会社。中期経営計画「New Horizon 2010」では基本戦略に「成長」「安定」と「環境」と、それらを支える基盤として「CSR経営の強化」を掲げており、CO2排出削減や環境問題に積極的に取り組んでいる。一般の人にはまだまだ馴染みが深いとはいえない海運業界。いったいどのような取り組みがされているのか、CSR推進グループの堀本真由美グループ長に話を聞いた。

    

取材/清宮恵子
写真/川上ふみ子

日本郵船株式会社 にっぽんゆうせん  URL:http://www.nyk.com/index.htm
特色 日本郵船グループは、海・陸・空にまたがるグローバルな総合物流企業グループとして、安全・確実な「モノ運び」を通じ、人々の生活を支えることを基本理念としています。
「企業理念」の実現を目指し、社会からの期待や信頼に社員一人ひとりがしっかり応えていくことが、当社グループのCSR(企業の社会的責任)と考え、「健全で透明性の高い企業経営」「安全の確保と環境活動」「誇りを持って働ける職場づくり」をCSRの柱として取組んでいます。
所在地 東京都千代田区丸の内二丁目3番2号 郵船ビル
電話番号 03-3284-5151
設立 1885年9月29日
業種 海運
資本金 88,531,033,730円
代表者 工藤 泰三
従業員数 1,619名

海上輸送の未来を変える
「NYKスーパーエコシップ 2030」

―現在さまざまなCSR活動を展開しておられますが、どのような方針で活動していますか?

企業理念の実現を目指し、社員一人ひとりが社会の期待と信頼にしっかり応えていくことを通じ社会の持続的発展に資することを念頭にCSR活動をおこなっています。具体的には「健全で透明性の高い企業経営」「安全の確保と環境活動」「誇りを持って働ける職場づくり」を3つの柱として取り組んでいます。
特に環境は中期経営計画「New Horizon 2010」の3つのキーワード「成長・安定・環境」にも含まれている通り、緊急に対処すべき経営の最重要課題の1つとして取り組みを強化しています。08年4月には社長直轄の環境特命プロジェクトを発足させ、2050年までに世界の温室効果ガス排出半減に貢献することを掲げました。

―CO2排出削減のため、具体的にはどのような取り組みをしていますか?

船舶からのCO2排出量削減を当社グループの温暖化防止活動の柱と位置づけています。「Save Bunkerキャンペーン」を展開し、CO2排出量削減につながる燃料油節減に以前から努力をしてきましたが、更に取り組みを強化しています。例えば最新の海流予測情報を活用し、黒潮内で流速が速い海域を詳細に把握することで、航行時に黒潮を有効に利用できるようになりました。これにより、大型原油タンカーの黒潮流域内でのCO2排出量を最大9%削減できることを確認しています。
海・陸間のコミュニケーションを更に活性化させることで、最適な速度・ルートで運航できるスケジュールを選択したり、お客さまの理解を得て減速航海を進めるなど小さな努力を積み重ねる一方、電子制御エンジンや太陽光発電など、燃料油節減につながる技術の導入を行うことで、CO2排出の削減に取り組んでいます。

―将来に向けて、という点では「NYKスーパーエコシップ 2030」の構想もありますね

現在できるCO2排出削減の努力を行っていくことはもちろん重要ですが、一方、環境技術開発にも積極的に取り組んでおりその技術開発のロードマップとして「NYKスーパーエコシップ 2030」を考案しました。この船では、甲板を覆うシートで太陽光発電を行ったり、船上にヨットのような帆をつけて風力を活用したりすることで現在と比較して輸送するコンテナ一個あたりのCO2排出量を69%削減することが可能です。一見夢のような船ですが、個々の要素の実現に向けて積極的に技術開発に取り組んでいます。
私たちの究極の目標は2050年までにエミッション・ゼロ、つまりCO2を排出しない船を運航することです。とはいえ2050年では少し先過ぎてその実現を次の世代に託してしまう。ならば2030年ではどうだろう?ということで「NYK スーパーエコシップ 2030」を発表しました。私たちは造船会社ではないので船を直接作ることはできませんが、将来の具体的な絵を示すことで、多くの方に海運とその未来に関心を持っていただきたいと考えています。

ツールや研修を活用しつつ、
CSR活動推進には「対話」を重視

―CSR活動を推進するためにやっていることは何ですか?

CSR活動は、社員一人ひとりが取り組むべきことですので、CSR推進グループでは、さまざまなツール、研修を通して社内での啓発に力をいれて取り組んでいます。たとえば年2回実施するe-ラーニングではCSRを身近に感じてもらえるよう、なるべく社員の事例を多く出すようにしています。また、年1回実施しているCSR5分間レッスンは、「CSR調達という言葉を知っていますか?」などの質問を投げかけることで現在の時流やちょっとした知識に関心を持ってもらえるよう気付きを促す工夫しています。社会の要請を社内に知らせ、変えるべきところは変えていくために、SRIのアンケート調査も活用しています。


―CSR活動を推進するにあたり、何が一番大変と感じますか?

CSR活動では、はっきり目に見えて数字化されにくい分、活動を推進するにあたっては、社員が「企業の価値は財務面だけではない、社会・環境も評価の対象」ということに気づき、一人ひとりが自分のこととして納得し、活動につなげることが一番大変だと感じています。そのためには、やはり対話が一番重要なのではないかと思います。私達は、社員に社外から見た会社の姿を伝えたり、逆に社員からの声を聞いたりすることで、少しでもCSR活動の推進に役立てればと考えています。

CSR活動とは、
プラスを更にプラスにすること

―CSR担当者として、仕事のやりがいは何ですか?

入社してから今まで営業や広報などの部署でいろいろな経験をさせてもらう中で、会社や社会に恩返しをしたいと考えていたところ現在の部署に異動になりました。そういう点でも、CSRを推進することは企業の一員として社会の役に立てる仕事で、非常にやりがいを感じています。
企業がもつ力、そこで働く人の力はとても大きいと感じます。その大きな力をより良い社会にするために役立てる、その手助けをするのがCSRの部署なのではないかと思います。

―最後に、今後の抱負を教えて下さい

社会からの要請に答えるだけではなく、自主的に取り組んでいくこと。CSRは、最低限のことをやる活動ではなくて、プラスをさらにプラスにする活動だと思います。だからグループ社員にCSRの視点を持ち仕事に取り組む大切さ、おもしろさに気づいてもらえるよう、今後もその下地作りに取り組んでいきたいと思います。良い会社にしたい、良い社会にしたい。それが究極の目標ですね。

―ありがとうございました。


編集後記:

「CSR活動は幅が広くて奥も深い。伝えきれないもどかしさも感じますが、とてもやりがいを感じています」と語ってくれた堀本さん。話の端々から、熱い情熱を感じることができました。一度に大量の物資を輸送できることから航空やトラックなどに比べて輸送量単位あたりのCO2排出量が少ないとされる船舶は、今後ますます需要が見込まれる分野です。グローバル企業である日本郵船が今後どのようなCSR活動を展開していくのか、ますます期待したいと思います。

堀本 真由美
堀本 真由美:良い会社にしたい、良い社会にしたい それが究極の目標です

堀本 真由美(ほりもと まゆみ)

日本郵船株式会社 CSR推進グループ グループ長

83年、日本郵船に入社。営業や客船事業、広報などで経験を積み、96年にグループ会社の郵船クルーズ株式会社へ出向。約11年勤めた後、07年4月にCSR推進グループに異動、09年4月より現職。

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