環境・CSR担当者訪問  

富士通株式会社

日本を代表する総合エレクトロニクスメーカー・富士通。コンピュータ製造、関連ソリューションの提供で世界トップクラスの同社こそ、豊かな未来の象徴である。最近では携帯電話の分野でも話題になる富士通だが、ICT企業として日本のあらゆる分野でその技術力を発揮している。人とテクノロジーのあるべき関係を追求する同社の視点が、これからの人類の発展に必要ではないだろうか。富士通CSR推進部長の藤崎壮吾さんに話を伺った。

    

取材/松崎辰彦
写真/川上ふみ子

富士通株式会社 ふじつうかぶしきかいしゃ  URL:http://jp.fujitsu.com/
特色 富士通グループは、FUJITSU Way企業理念「常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくり貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供します」を実践することで社会への責任を果たしていきます。
所在地 本社: 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
電話番号 03-6252-2220
設立 1935年6月20日
業種 電気機器
資本金 3246億2507万5685円 (2010年3月末現在)
代表者 代表取締役社長 山本 正已
従業員数 連結:172,438人 (2010年3月末現在)

地球と社会の持続的な発展を目指すFUJITSU Way

― 富士通のCSRに対する基本的な理念をお教え下さい

富士通には富士通グループの存在意義や尊重すべき価値観、社員一人ひとりが日々どのように行動すべきかを示したFUJITSU Wayという基本理念があり、明文化されています。
FUJITSU Wayは企業理念・企業指針・行動指針・行動規範という四つの要素から成り立っていますが、最終的には"豊かで夢のある未来"の実現を目指しています。
富士通グループのCSRは、このFUJITSU Wayの実践です。2009年には国連が提唱するグローバル・コンパクト(人権・労働・環境・腐敗防止の各分野の行動原則を支持して、持続可能な成長を実現するための自発的な取り組み)にも参加しました。私たちはICT (Information and Communication Technology =情報通信技術)企業ですから、ICTを通じて環境との共生、地球との共生を目標としています。


― 富士通は環境問題にどのような姿勢をとっているのでしょうか

富士通は環境を経営の最重要事項の一つとして位置付け、長年にわたり環境活動に取り組んでいます。現在も経営の基本方針として掲げている三つの起点の一つが「地球環境起点」です。富士通自身の事業活動における環境負荷の低減はもとより、ICTを使っていかに社会全体の環境負荷低減に貢献できるかを追求しています。
例えば省エネルギー化については、富士通自身また富士通のICT製品の省エネルギー化に徹底して努める一方、いかにお客様や社会全体の省エネルギー化に貢献できる製品やサービスを世に出せるかがより重要であると考えております。ICTを通して、いかに環境に負担の少ない社会を作り出せるかが、私たちの役割だと認識しております。


― 省エネ、リサイクルなどにはどのように対処していますか

工場・事業所、またオフィスにおいて、使用電力の"見える化"などの仕組みを導入し省エネに努めています。また、パソコンやサーバなどのICT機器やデータセンターに関してもさまざまなテクノロジーを導入し省エネ化を図っています。さらに、お客様の向上、事業所やデータセンターなどの省エネを支援するソリューションもご提供しています。
製品のリサイクルに関しても早くからから力を入れています。日本全国をカバーするリサイクルセンターを設置しており、安心・安全かつ90%を超える高いリサイクル率を誇るリサイクルサービスを提供しています。
現在、私たちが推進しているのがクラウド・コンピューティングという新しいコンピュータ・ネットワークのシステムです。これはデータセンターを活用することで、より手軽で広範なサービスをお客様に提供するというものです。現在のコンピュータ・ネットワークでは、サービスを受けるには当然ながらコンピュータが手元になければならないわけですが、クラウド・コンピューティングが実現すればデータセンターから使いたいものだけを使えるようになるので、より環境負荷の低いネットワーク社会が実現すると考えられます。


東日本大震災の現場で活躍する富士通の技術

― 東日本大震災で被災した現場で、富士通の技術力が活躍していると聴いています

富士通ではCRMateというクラウド・サービスを被災地で活動するNPOに無償で提供し、人やモノの流れを的確に把握するお手伝いをさせていただいております。CRMateは、平時でも物流などの情報収集や管理に大きく役立つものですが、今回のような被災現場ではまさにその本領を発揮しました。
「どの避難所に何人の被災者がいるか?」「支援物資はどこから来てどこへ流れたか?」こうした情報伝達をスムーズに行い、現場の効率化を実現しました。
これまでのシステムではチェックする項目数が必ずしも十分ではなかったのですが、CRMateでは「トイレの位置はどこか?」「どのような障害やアレルギーをもった人がいるか?」といったことも含めて、100項目以上のニーズを一元管理できるようになりました。行政だけでは難しかった現場に密着した情報把握がNPOの方々と連携することで実現し、ICTの可能性、新しい価値の創造という点で、私たちも得難い経験をしたと考えております。
CRMateは宮崎県の、牛の口蹄疫や鳥インフルエンザの際に状況把握に力を発揮した実績がありましたので、今回の震災でも提供させていただきました。CRMateはクラウド型サービスのためシステム自体はデータセンターにあり、従来型の情報システムのように現場にハード機器を持ち込んですえつける必要がなく、災害発生から2週間でシステムを稼働することができました。
このたびは「つなプロ」をはじめとするNPOや政府・自治体など、さまざまな組織と連携し、災害復旧・復興に向けてICTを活用したサービスを提供することで、多くの方のお役に立てたことを嬉しく思っています。


― 被災地では多くのパソコンや携帯電話が津波で被害を受けたそうです。その復旧にも富士通は大きく貢献したとか

富士通では被災地にさまざまな形で支援を行っております。その一つとして、約2000台のパソコンを無償で提供させていただきました。またITシステムが寸断され大きな影響が出たことから、消防、警察、病院、自治体など人命にかかわるシステムの復旧を最優先に、全国のCE(保守スタッフ)をローテーションで現地に派遣し、24時間体制でシステム復旧の支援を行いました。このように、富士通ではICTのリーディング企業としての社会インフラを支えることを使命と考え、業務を実践しております。


― 富士通は医療関係のシステムに強いと聴いています。今回の震災でも、その経験やノウハウが活かされたそうですね

富士通はもとより電子カルテの分野では国内トップのシェアがあり、健康産業の発展にも力を入れています。今回の震災により、被災地では医療機関が壊滅な打撃を受けました。多くの病院や診療所も津波に破壊され、寝たきりの患者さんが体育館で寝かされるようなことになり、要介護レベルもどんどん上がるような状態になってしまいました。そうした被災地では、富士通は病院のみならず在宅医療の強化が課題であると考えており、ICTを活用して患者さんにきめこまかいヘルスケアを提供していきたいと考えています。そして、ICT を使ってより効率的で迅速な復旧事業のお手伝いができればと、私どもは考えています。


富士通は「ラスト・サムライ」

― そうしたなかで、やはり企業として利益の追求は大切だと思います。環境対策や復興事業は大変に公益性の高い活動ですが、その一方でいかに利益を追求するのかを伺いたく思います

今回の震災のような緊急支援には例外はありますが、ボランタリーな活動を推進する場合でも、長期的にはやはりその先にビジネスの可能性を考えていることは事実です。一方、企業として利潤の追求は不可欠ですが、現代では環境配慮を無視した、技術の追求は許されません。スーパーコンピュータも発熱量をいかに抑えるかが大きな課題といえます。また省エネ製品を作り上げることは大切ですが、その製造過程でエネルギーを大量消費するようでは意味がありません。このあたりはバランスをとりつつ、事業を進行させています。
ちなみにスーパーコンピュータを、チップレベルから自社技術で作っている会社は日本では富士通しかありません。アメリカ勢が占有するスパコン市場に、果敢に挑戦し続ける富士通を「ラスト・サムライ」と称される方もいるくらいです(笑)。スーパーコンピュータがアメリカ勢の独占市場になったら、おもしろくありませんからね。


― 富士通は宇宙事業でも陰で貢献していると聴いています。昨年の小惑星探査機『はやぶさ』の帰還も、富士通の技術が支えたということですね

『はやぶさ』の軌道決定システムには富士通の技術が関与しています。のみならずハワイにある天文台『すばる』望遠鏡の観測制御システムや、地域気象観測システム『アメダス』のシステムも、富士通が支えています。また多くの宇宙・航空の分野の技術にも、富士通が関わっています。
他にも富士通はLinuxを採用した世界最大級の法務省の登記情報システムや世界最高水準の東京証券取引所の株式売買システムの構築を行うなど、ICTを使って社会のインフラを縁の下の力持ちとして支えています。


富士通はどこへ向かうのか

― 今後、富士通はどのような方向を目指すのでしょうか

結局はICTを活用して、お客様と地域社会の方々と、豊かで夢のある世界を共に創るということだと思います。ICTを進化させていくことで、持続可能な社会に向けた、人に優しい知恵が次々の生まれる世界──ヒューマンセントリックなインテリジェントソサエティ──を実現していきたいと思います。
例えば現在、富士通は農業にも力を入れています。土壌にセンサーを入れて、気温や日射量も勘案して、種をまく時期を割り出したり、ベテランの作業中の方一人ひとりにGPSをつけて、全体的な農作業の進行状況を"見える化"して改善するなど、ICT を活用することでより効率的な農業の実現を支援しています。
畜産分野では牛に歩数計をつけることで、発情期を判別するシステムも提供しています。牛は発情期になると歩数が多くなるという性質を利用したものですが、これによって夜を徹して牛を監視する負担から解放されたうえ、受胎率も高まるという結果も報告されました。 また農業では後継者問題が大きな課題ですが、ICTを導入して技術的なノウハウをデータ化し、習得に10年かかる農業技術を5年で習得できるようにする取り組みも進めています。今まで勘に頼っていた方法論を明確化することで、合理的でわかりやすい農業の創造のお手伝いをさせていただいています。
このように富士通は社会全体をお客様ととらえ、さまざまな課題をICTを活用して解決し、よりよい社会、持続可能な世界の実現に貢献していきたいと考えております。


― 本日はありがとうございました

編集後記:

この記事を作成中、富士通と理化学研究所が共同開発したスーパーコンピュータ「京」の演算速度が世界一になったというニュースが飛び込んできました。某政治家に『なぜ一番にならなければならないのか?』といわれたスーパーコンピュータですが、やはり日本は技術立国として、世界の先端を走っていてほしいものです。東日本大震災を経た日本人は、"真に人間に幸福をもたらす科学技術とは何か?"という問題にぶつかっています。富士通の多方面での活躍が、その解答のヒントになるかもしれません。


藤崎壮吾
藤崎壮吾:地球と社会の持続的な発展を目指すFUJITSU Way

藤崎壮吾(ふじさきそうご)

富士通株式会社 パブリックリレーションズ本部CSR推進部長

1992年入社。開発途上国向け通信インフラビジネスの営業/事業企画を担当。2000年よりグローバルな政策渉外活動(情報社会/貿易自由化)等に従事。2010年4月より現職。現在、経営と一体となったCSR活動を展開中。

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