大阪ガス株式会社(社長:尾崎裕;以下、「大阪ガス」)と、株式会社ダイキアクシス(社長:大亀裕;以下、「ダイキアクシス」)は、少量の生ごみを経済的にバイオガス化するコンパクトバイオガス化システム(以下、「本システム」)のパイロット機を開発しました。このパイロット機を大阪ガスのエネルギー技術部(大阪市此花区)に設置し、地区内の大阪ガス社員食堂から排出される10kg/日の生ごみをバイオガス化する実証試験を本日から開始します。
食品工場、スーパーなどの食品関連業界では、食品廃棄物の発生抑制および飼料への再利用などに取組んでおられます。平成20年度には、食品リサイクル法の改正により、発生量が100トン/年以上の事業者に、発生量と再生利用量などの報告が義務化されるなど循環型社会を目指した取組みが強化されています。また近年は、集合住宅においても、住民の環境意識の高まりから、食品廃棄物の廃棄量を削減するシステムへの注目が高まっています。
これを受け、食品工場・生ごみ処理施設などでは、バイオガス化システムを設置して排出される食品廃棄物をメタン発酵※させ、発生したバイオガスを発電燃料などに利用して廃棄量を削減するとともに、CO2の発生量の抑制にも取り組んでおられます。しかし、従来のバイオガス化システムは5t~10t/日以上の食品廃棄物を排出する大規模施設を対象としており、10kg~1t/日程度の少量の食品廃棄物を排出する小規模食品工場、商業施設、スーパー、集合住宅などへは、設置スペース・費用などの観点から導入することが困難でした。
※ 嫌気条件でメタンを合成するメタン菌の働きにより、有機性廃棄物からバイオガスを取り出す技術。発生したバイオガスは発電燃料などに利用できるためCO2の削減に寄与する。
このたび実証試験を行う本システムは、ディスポーザーで破砕した廃棄物に含まれる骨などの重量異物を沈降除去する「受入槽」、廃棄物をさらに固体と液体に分離する「固液分離槽」、メタン菌により生ごみからメタンを発生させる「バイオガス化槽」、固液分離槽で分離された液体を浄化する「排水処理槽」から構成されています。本設備では、従来型システムでは独立して配置されていた受入槽、固液分離槽、バイオガス化槽、排水処理槽を単一槽にしてその中で仕切ることで、コンパクトにしました。また、バイオガス化槽への入口に溜めた生ごみ(生ごみの堰)でバイオガス化槽内のメタン菌の固液分離槽への流出を防ぎ、また、バイオガス化槽内に水流を発生させて、生ごみを固液分離槽から移送させることにより、ポンプなどの機械装置を大幅に削減しました。これらにより、設備のコンパクト化と導入費用の削減を実現しました。
本実証試験では、10kg/日の生ごみを処理することにより、1日0.7m3のバイオガスが安定的に発生することなどを確認します。本実証試験の結果に基づき、次年度には100kg/日程度の生ごみを処理する食品関連事業者さまの敷地内での実証試験を予定しています。これらの実証試験を通じて、小型バイオガス化システムの実用化を加速し、平成25年度の商品化を目指します。
あわせて、本システムから発生するバイオガスを燃料として、都市ガスと併用することで安定的に運転する小型バイオガスコージェネレーションシステムなどの開発にも取組み、本システムと同時期の商品化を目指します。
1. 小型バイオガス化システムの概要
(1)バイオガス化システム詳細

1) 受入槽
ディスポーザーで粉砕した生ごみを受入れ、骨などの重量物を沈降除去します。
2) 固液分離槽
生ごみの固体分が槽下部に沈降し、バイオガス化槽への入口に"生ごみの堰"をつくることで、バイオガス化槽内のメタン菌が固液分離槽に流出することを防ぎます。"生ごみの堰"はバイオガス化槽内の水流によって、バイオガス化槽に吸い込まれます。
生ごみの液体分は、オーバーフローにより排水処理槽に直接送ります。
3) バイオガス化槽
生ごみをバイオガス化します。なお、バイオガス化槽内は発生したバイオガス等を熱源としてメタン菌が活性化しやすい温度(30-55℃)に一定に保持します。
4) 排水処理槽
バイオガス化槽に流入しない生ごみの液体分を、排水処理槽で処理し、下水道放流できるレベルまで浄化します。
(2)小型バイオガス化システムの特徴
1) 安価でコンパクト。
2) 10kg~1tの生ごみから0.7m3~70m3/日のバイオガスを回収。回収したバイオガスは燃料としてガスコージェネレーションシステム、ガスボイラー、ガス吸収式冷温水器など多用途で利用することが可能。
3) 汚泥発生量が少なく処理作業低減。(年2回程度)
4) 排水処理槽により下水放流基準まで排水を浄化。
(3)小型バイオガス化システム 商品化イメージ

2. 実証実験の概要
(1) 実証内容
1) バイオガス発生量の確認。(生ごみバイオガス化率≧70%)
2) 生ごみの堰の形成および、バイオガス化槽への移送状況の確認。
3) 処理排水が下水放流基準を継続的に満たすことの確認。
4) 排水処理後の汚泥発生量の確認。
(2) 実証予定期間
平成23年12月から平成24年6月
(3) パイロット機

3. 開発経緯
大阪ガスでは、大規模食品工場などへのバイオガスコージェネの導入、下水処理場で発生するバイオガスの都市ガス導管への受入など、バイオマス※からの効率的なエネルギー回収、バイオガスの有効利用に取り組んでおります。一方、ダイキアクシスでは、各種排水処理装置の設計・施工・維持管理に実績があります。
大阪ガスとダイキアクシスは共同で平成21年度から少量の生ごみでも経済的にバイオガス化する基礎技術の研究を行ない、1日1kgを処理する装置を用いて300日以上安定運転することに成功しました。開発した技術については、本年11月3日~5日に東京(東洋大学)で開催された廃棄物資源循環学会で展示し、優秀ポスター賞を受賞しています。
※化石資源を除いた再生可能な生物由来の有機性資源。