答え:
お話の現象は、蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder:CCD)と呼ばれる現象です。具体的には、一夜にしてミツバチが原因不明に大量に失踪するというものです。一つの例として、この現象によって大きな影響を受けている米国の例をご紹介したいと思います。
米国のカリフォルニア州で栽培されているアーモンドなどの作物は、ミツバチがほぼ全ての授粉を行なっており、2006年のこうした作物の収穫高は、日本円で約1500億円(1ドル=100円で換算)でした。ちなみに2000年には、授粉をミツバチに依存している作物の米国での総収穫高は150億ドルを上回ると推定されています。
ミツバチはアメリカ大陸が原産というわけではないので、その用途は農業などに限られています。これは、その土地原産の草花は本来的に、受粉にミツバチを必要とせず、野生の虫が花粉媒介を行なうからです。
しかし、現在ミツバチが授粉を行なっている作物の種類の30[%]では、花粉媒介を行なう野生の虫のほとんどはミツバチほど大量使用が出来ません。多くの場合、それらの昆虫は植物を訪問しようとはしません。ミツバチの場合は、必要に応じて場所を移動することができ、大群で植物を訪れます。
米国において、花粉媒介を昆虫が行う作物は全体のおよそ3分の1と言われています。その作物には、アーモンド、大豆、キュウリ、スイカ、メロン、桃、リンゴ、サクランボ、イチゴなどがあります。
つまり、これらの作物の生産量は、「ミツバチが大量にいなくなる」ことによって大きな影響を受けることになり、結果として食品の値段が上昇することが予想されています。